相続放棄できない!事例から学ぶ失敗しない相続放棄手続への対応方法

相続放棄の手続きを間違えると、大きな問題に発展しかねません。
この記事では、相続放棄できなくなるケースや失敗事例をもとに、相続放棄における注意点と正しい対応方法を解説します。
相続放棄できないケースを知っておくことで、今後のトラブルを未然に防ぐことができます。
相続放棄は、亡くなった人の資産や負債や契約上の地位などの権利や義務を一切引き継がないという意思表示を家庭裁判所に対しておこなう手続きです。
相続放棄できる期間に制限があるなど法律で定められた厳格なルールがあります。
この記事では、相続放棄に失敗する典型的な事例とそれに対する具体的な対応方法について深掘りします。
1.相続放棄とは
相続は、預貯金や証券などの資産のみならず、借り入れ(負債)や連帯保証人としての地位も引き継ぎます。
相続放棄をすることで、相続人は最初から相続人ではなかったとみなされます(民法939条)。
そのため、① 借金返済の義務からの解放(資産<負債)、② 特定の相続人に遺産を集中させたい場合、③ 面倒な相続関係から離脱したい場合などに利用されることが多いです。また、④田舎の実家や田畑など管理や処分に困る不動産を引き継がないために相続放棄をされる方も最近増えています。
この申立ては相続が開始したことを知った日から3か月以内に行わなければならず、この期間を「熟慮期間」と呼びます。
また、② 特定の相続人に遺産を集中させたい場合には「相続分の譲渡」という方法もあり、相続放棄による方法とメリット・デメリットを比較して、どちらの方法を選択するべきかを検討する余地があります。
相続放棄を選択する際には専門家のアドバイスを受けておくと良いでしょう。
1-1.相続時の選択肢
相続時には、主に「単純承認」、「相続放棄」、「限定承認」の3つの選択肢があります。
これらの選択肢を理解しないと、相続財産に対する正しい判断ができず、予期しない負債を相続してしまうリスクもあります。
例えば、単純承認を選べばすべての財産を相続することになりますが、負債もすべて引き受けることになるため、思わぬ借金を背負うことになる可能性があります。
一方、相続放棄を選べば、すべての財産と負債の相続を拒否することができます。
これは、特に負債が財産を超える場合に有効な手段です。
ただし、相続放棄を選んだ場合、プラスの財産もすべて受け取れなくなる点に注意が必要です。
限定承認は、遺産の範囲内で負債を承認する方法です。
但し、手続きに時間と費用がかかり負担が大きいため、あまり利用されていません。
相続時の選択肢を正しく理解して、自身の状況に最適な判断をすることが重要です。
1-1-1.単純承認
単純承認は、相続人が被相続人の財産を無条件で全て引き継ぐ選択肢です。
単純承認を選ぶと、相続人は被相続人の資産と負債を全て受け継ぐことになります。
例えば、父が亡くなり、その全ての財産と負債を子がそのまま引き継ぐケースが単純承認です。
父の家や銀行口座だけでなく、借金や未払いの税金も全て引き継ぎます。
単純承認を選択する際には、相続財産の詳細を十分に把握することが重要です。
被相続人の負債が多い場合、不利益を受ける可能性があるため注意が必要です。
極端な話として、相続放棄手続きの存在を知らずに、莫大な借金を相続したことで自己破産手続きをされたケースもあります。
相続放棄に期限があるため相続財産調査を速やかにおこなうことが大切で、もし期限までに調査が終わりそうもない場合には後述する「熟慮期間伸長」の手続きという期限を先延ばしにするための対応をおこないます。
1-1-2.相続放棄
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産や負債を一切引き継がないことを選択する手続きです。
相続財産が負債超過のケースにおいて相続放棄により経済的に不利な状況におちいるリスクを回避できます。
ただし、その代わりに資産も一切引き継ぐことができないということに注意が必要です。
相続放棄の手続きは、具体的には、相続が開始されたことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に対して手続きをとらなければなりません。
この期限を過ぎると原則として放棄は認められないため、早急な対応が重要です。
相続放棄を検討している場合は、期限内にしっかりと手続きすることが大切です。
1-1-3.限定承認
限定承認とは、相続財産の範囲内で被相続人の債務を引き継ぐ方法です。
限定承認を行うことで、相続財産を超える負債を相続人が負担するリスクを避けることができます。
また、負債よりも資産が多い場合には、遺産を取得できるというメリットがあります。
ただし、相続人全員で手続きしなければならず、遺産をお金に代えて債権者へ弁済し清算をおこなう必要があるなど手間が大きいにも関わらず、結果として財産は全く手元に残らず、裁判所の費用や手続き負担だけを背負う可能性もあるため、実際にはあまり利用されていません。

2.相続放棄できないケース
状況次第では相続放棄できない場合もあります。
法律上相続放棄が不可能なケースや、家庭裁判所の手続き上の問題などにより放棄が認められない具体的な場面を取り上げて、その詳細と対策について説明します。
2-1.法律上、相続放棄が認められないケース
法律上、相続放棄が認められないケースがあります。
理由を大きく2つに分けると、① 相続放棄手続き上の不備、② 法律上認められない場合に分かれます。
2-1-1.相続放棄の期限を過ぎた
相続放棄には法律で定められた期限(熟慮期間)があり、それを過ぎると相続放棄は認められません。
被相続人の死亡の事実を知った日から3ヶ月以内に手続きをしなければならないと法律で定められています。
期限を過ぎてからの相続放棄は認められないため、注意が必要です。
例えば、被相続人が亡くなってから4ヶ月目に相続放棄をおこなった場合、期限が過ぎているため申立てが却下される可能性があり、結果として全ての財産と負債を承継することになります。
ただ、家庭裁判所の実務では、熟慮期間経過後であっても一定の場合に相続放棄を認めているケースもあります。
しかし、熟慮期間経過後にする相続放棄すべてが認められるわけではありません。
負債のみを引き継ぐような事態を避けるためにも、期限をしっかり守ることが重要です。
被相続人が亡くなったことを知ったら、すぐに必要な手続きをおこなうようにしましょう。
2-1-2.単純承認に当たる行為をした
相続放棄の熟慮期間中に法律(民法第921条)で定められていている単純承認に当たる行為をすると、相続するものとみなされます。
一度単純承認を行ってしまうと、相続放棄は不可能になります。
具体的な例としては、相続財産を処分したり、相続財産で借金を返済したりすることが挙げられます。
単純承認は一切を相続することになり、借金返済の義務も引き継ぎます。
そのため、遺産を使い込む行為だけでなく、借金や税金を支払う行為も単純承認に当たる可能性があります。
これらの行為は、相続財産を自己のものと認めたことと見なされます。
このため、相続放棄を希望する場合には、相続財産に関するこれらの行為を避け、十分に慎重に手続きを進めることが重要です。
⚠️ 参照│単純承認とみなされる可能性がある行為
- 預貯金口座の解約・払い戻し
- 現金の使い込み
- 動産(絵画・宝飾品・貴金属・腕時計)の持ち帰り
- 株式・不動産・自動車の名義変更・売却
- 相続財産である収益不動産の賃借人に賃料支払いを請求
- 故意(わざと)に相続財産を隠す
- 相続財産で債務(借金・税金)の返済や支払い
なお、被相続人の死亡後に支払いの面で問題となることの多い「葬儀代」「未払い入院費用」があります。
相続財産を本人である被相続人の葬儀代に充当し支払ったとしても、社会通念上許される範囲であれば単純承認にはあたらないと考えられています。
それに対して、相続財産から被相続人が入院、入所していた医療機関や介護施設への未払い費用に充てることは単純承認に当たる可能性があります。
相続放棄することを考えていたにも関わらず、上記に該当する行為をおこなってしまった場合、相続放棄できるかについて弁護士に相談されると良いでしょう。
2-2.家庭裁判所の手続きに問題があるケース
家庭裁判所への相続放棄申立ての内容に問題があることによって、相続放棄ができない場合があります。
手続き上の不備や誤りが生じると、相続放棄が認められないことがあります。
具体的な例を挙げながら、詳しく説明します。
2-2-1.手続き上の不備・誤りがあった
相続放棄の手続きを進める際には、法律に基づいた厳格な手続きが必要とされ、そのために書類の記載ミスや提出漏れが原因で相続放棄が認められないことがあります。
⚠️ 参照│相続放棄申立の注意点
- 申立先の管轄まちがい(被相続人の最後の住所地の家庭裁判所)
- 照会書に回答しない(本人の意思による申立てかの裁判所の確認)
- 追加書類提出などの無視
例えば、相続放棄申述書の記載ミスや必要書類の未提出などに対して、家庭裁判所から必要な対応の連絡があります。
それに対応せずにいると申立てが却下される可能性があります。
そのため、申立書に記載する連絡先に誤りが無いことは当然のことですが、裁判所からの指示には適切に対応することが大切です。
また、相続放棄は相続権を失わせる手続きであるため、相続人本人の意思による申立てかどうかを確認するため、家庭裁判所から申立人の住所地に照会書が届きます。
期限内に回答せず返送しないでいると申立てが却下される可能性があります。
なお、家庭裁判所により相続放棄の申立てが却下された場合、2週間以内に不服申し立てである「即時抗告」をすることができます。
この場合、相続放棄の申述不受理の決定に対する反論を、根拠をもって示す必要があります。
相続放棄は、手続きが成立しなかった場合のリスクが大きいため、こうした手続き上の不備や誤りを避けるためにも専門家のアドバイスを受けておくことをおすすめします。
法律の専門家である弁護士は、必要書類の準備や正確な記載方法、期限管理など、円滑に手続きを進めるためのサポートが可能です。
2-2-2.相続放棄の必要書類
相続放棄には必要書類を正確に揃えることが不可欠です。
これらの書類に不備や誤りがある場合、手続きが遅延することや、最悪の場合は無効とされる恐れがあるからです。
必要書類には、被相続人の戸籍謄本や相続放棄申述書などが含まれます。
📄 参考│相続放棄申述申立の主な必要書類
- 相続放棄の申述書
- 被相続人の住民票除票(または戸籍附票)
- 申立てする人(申述人)の戸籍謄本
※申述人の立場により、被相続人の出生~死亡までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本などが必要になります。
家庭裁判所からの求めに応じて追加書類を用意したり、訂正が必要になったりする手間を避けるためにも、申立時に書類のしっかり準備しておくことが大切です。

3.相続放棄の失敗事例
いざ、相続放棄をしようと考えた時に「相続放棄できない」という事態に陥っているケースがあります。
主な失敗事例として、法律で定められた相続放棄の期限を過ぎてしまった場合や、相続財産の全容を把握できなかったために負債を背負ってしまうパターンがあります。
また、手続き上の誤りが発生することもあります。
相続放棄の申述書の不備や裁判所からの指示に対応せずにいると、相続放棄は家庭裁判所によって却下されることがあります。
相続放棄の手続きには慎重さが必要であり、失敗を避けるためには十分な知識と注意が求められます。相続放棄を考える際には、まずは専門家に相談することが重要です。
弁護士は、複雑な手続きをスムーズに進める手助けをしてくれるだけでなく、失敗を未然に防ぐための具体的なアドバイスも提供してくれます。
慎重に対応することで、相続放棄手続きが円滑に進み、相続のトラブルを回避できるでしょう。
3-1.相続放棄の期間計算の間違い(起算点の勘違い)
相続放棄をする際に一番重要なのは、相続放棄の期間を正確に計算することです。
しかし、期間計算を間違うことで、結果として相続放棄が認められない事例も少なくありません。
相続放棄の期間計算における誤りの具体的な事例と、その原因を詳しく解説します。
3-1-1.熟慮期間経過後も相続放棄できる可能性がある
相続放棄の期限は、基本的に被相続人の死亡の事実を知ってから3か月以内(熟慮期間)です。
相続は被相続人の死亡により開始しますが、相続放棄の期間計算は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」です。
死亡した時点からではないことに注意が必要です。
具体的には、被相続人の債権者である金融機関からの支払を求める請求書により、ご自身が相続人であることを知った時は、その通知書面を受け取った日が起算点となります。
原則として、この期限を過ぎてしまうと相続放棄は認められません。
ただ、裁判例では熟慮期間を過ぎても相続放棄が認められたケースがあります。
⚖️ 裁判例:熟慮期間経過後の相続放棄が認められたケース
被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたため(相続放棄をしなかった)…[中略]…被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信じるについて相当な理由があると認められるときには、…[中略]…、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算すべきものと解するのが相当である
引用 最高裁第2小法廷判決昭和59年4月27日
通常、自身に相続の開始があった時から開始しますが、一定の条件下で熟慮期間の起算点を変更することがあります。
これにより相続人は手続きの遅れによって不利益を被らないように保護されることがあります。
この場合、家庭裁判所に申し立てを行うことで相続放棄が認められる可能性があります。
熟慮期間を過ぎても一定の条件下では相続放棄が可能であるため、諦めずに確認することが重要です。
当事務所でも相続放棄に関する裁判例について熟知しておりますので、お気軽にご相談ください。
3-1-2.熟慮期間伸長の申立て
熟慮期間とは、相続放棄の意思決定を行うための期間であり、これを一定の条件下で延長することが可能です。
相続財産や負債の全貌を把握するには時間がかかる場合が多く、熟慮期間だけでは正確な判断を下すことが難しいことがあります。
例えば、遠方に住んでいる相続人が家屋を確認するために時間が必要な場合、被相続人の財産調査が複雑である場合などが挙げられます。
こうした場合には家庭裁判所に熟慮期間の延長を申し立てることができます。
熟慮期間がどの程度延長されるかは、基本的に裁判官の判断になります。
また、熟慮期間伸長の申立てをすることは何度でも可能です。
相続放棄の熟慮期間内に財産調査完了が間に合わない場合には、家庭裁判所への伸長の申立てを積極的に検討しましょう。
3-2.相続放棄後の財産管理義務
相続放棄の申し出が家庭裁判所に受理されたあとも、相続財産の管理義務が残ることを理解しておくことは非常に重要です。
📖 参照│民法第940条(相続の放棄をした者による管理)
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
相続放棄を行うと、自動的にその財産や負債から解放されると思われがちですが、被相続人と一緒に住んでいた自宅は「財産を現に占有していた」ケースに当たるため、相続放棄後も相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間、管理義務が残ります。
自宅不動産が空き家となり長期間放置されると、近隣住民や自治体に迷惑をかける可能性があり、その結果、賠償責任など法的な問題が発生することも考えられます。
このようなケースでは、相続財産清算人や相続放棄をしていない他の相続人にしっかりと引き継ぎをおこなうことが大切です。
このように、相続放棄を検討する際には、単に財産や負債から逃れることだけでなく、その後に必要となる財産管理義務を負う可能性についても十分に考慮する必要があります。
被相続人の死亡を知った場合は、早めに専門家(弁護士など)に相談し、必要な手続きを確実に行うことが推奨されます。相続放棄の手続きや財産管理に関するアドバイスを受けることで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
3-2-1.相続財産清算人・他相続人に引き継ぐことが必要
相続放棄後に相続財産を相続財産清算人や他の相続人に引き継ぐことが必要です。
相続財産清算人とは、被相続人の相続債権者に債務を返済し清算業務をおこなって、最終的に残った相続財産を国(国庫)に帰属させる職務をおこなう人のことです。
相続放棄後に、相続財産を引き継ぐべき他に共同相続人がいない場合には、相続財産清算人の選任が必要です。
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、利害関係人が申し立てすることになります。
3-3.相続財産調査で負債調査を忘れていた
相続財産調査を行う際に負債の調査を忘れると、後々大きな問題に発展する可能性があります。
相続はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産、すなわち負債も引き継ぎます。
つまり、実際には債務超過状態にあるにも関わらず、相続放棄をせずに単純承認をしてしまうと返済義務が発生してしまいます。
例えば、被相続人が銀行から大きな借り入れをしていた場合、その存在を見落としてしまうと、相続放棄をした後であっても銀行からの返済請求を受けます。
負債の見逃しは相続人にとって大きな経済的打撃となり、場合によっては自己破産に追い込まれることさえあります。
相続財産調査で負債調査を忘れてしまうと、このように後から法的な問題に発展するリスクが高まります。
相続財産調査を行う際には、弁護士などの専門家に相談し、全ての財産情報を漏れなく確認することが重要です。
3-4.受け取りたい財産があった(相続放棄で遺産を承継できない)
相続放棄をすると、原則として遺産を一切受け取れません。
しかし、相続放棄をしても特定の財産を受け取れる場合があります。
その具体例として、生命保険金や祭祀財産、遺族年金などが挙げられます。
以下で詳しく見ていきます。
3-4-1.相続放棄後も受け取れる財産
生命保険金は、指定されている受取人が相続人である場合でも相続財産には含まれません。
次に、相続財産に含まれない祭祀財産、仏壇・仏具、位牌、お墓なども引き継ぐことは可能です。
また、遺族年金や死亡一時金も通常の相続財産とは異なるため、相続放棄後でも受け取ることができます。
さらに、相続放棄後にも受け取れる財産と誤解してしまい、引き継いだり、消費してしまうと相続放棄が無効になる可能性があります。
3-4-1-1.生命保険金
相続放棄後でも生命保険金を受け取ることができるケースがあります。
遺族が受取人に指定されていた場合の生命保険金は固有財産となり、相続財産の対象となりません。
例えば、被相続人が生前に生命保険の受取人を子供に指定していた場合、その子供が相続放棄をしていても生命保険金を受け取ることができます。
ただし、被相続人本人が受取人に指定されている場合は相続財産となり、相続放棄により受け取ることができません。
保険契約の約款(契約書)の内容を確認するようにしましょう。
3-3-1-2.祭祀財産(仏壇仏具位牌・お墓など)
相続放棄後でも、相続財産ではない祭祀財産(仏壇仏具位牌、お墓など)は引き継ぐことが可能です。
3-3-1-3. 遺族年金(死亡一時金)
相続放棄をしても遺族年金(死亡一時金)を受け取ることができます。
遺族年金や死亡一時金は、遺族の生活保障を目的とした遺族への給付であるため、被相続人の財産(相続財産)には当たりません。
3-3-1-4. 未支給年金
未支給年金は、相続放棄をした場合でも受け取ることができる場合があります。
未支給年金は、固有財産とされており、被相続人の死亡時に生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦その他3親等内の親族であれば、その順番で受け取ることができます。
3-3-1-5. 国民健康保険、健康保険組合等からの葬祭費・埋葬料
相続放棄後も、国民健康保険や健康保険組合から支給される葬祭費や埋葬料として支払われる一時金を受け取ることができます。
葬祭費・埋葬料は被相続人が生前に加入していた保険制度から支給されるものであり、相続財産に含まれません。
例えば、被相続人が国民健康保険に加入していた場合、その葬儀を行った人は支給要件を満たせば葬祭費を受け取ることが可能です。
相続放棄をしてもなお受け取れるこのような給付金は、忘れずに申請することが大切です。
なお、葬儀費用を相続財産である預貯金から支払い、その金額が不相当に高額すぎない場合には、単純承認のひとつ「相続財産の消費する」行為には当たらず、相続放棄することは可能です。
3-3-3-6. 死亡退職金
死亡退職金は相続財産ではなく、相続人の固有財産となります。
相続放棄をした場合でも受け取ることができます。
具体例として、父親が多額の負債を抱えて亡くなり、その債務を避けるために相続放棄を行った場合でも、父親の会社から支給される死亡退職金は受け取ることができます。
死亡退職金は遺族の生活保障を目的とするものであると考えられています。
ただし、税法上、死亡退職金は「みなし相続財産」といって、相続税を計算する際の対象となります。
相続税には軽減措置や非課税枠があるため、その枠を超えない限り相続税納付の義務はありません。
心配な方は、相続税申告について税理士に相談されると良いでしょう。

4.被相続人の死亡を知ったら直ぐ弁護士に相談
弁護士に合格すると「税理士」「社会保険労務士」「行政書士」など他士業の登録ができます。いわば、法律系の資格のプロです。
弁護士に相談することで、おおよその法律トラブルの解決が期待できます。
4-1.相続財産調査・相続人調査の代行
ご自身が相続人であり、相続放棄することを決意している場合、特に相続財産調査・相続人調査をおこなう必要はありません。
他の共同相続人の同意は不要で、単独で相続放棄することができます。
ただし、相続放棄するかどうかを悩んでいる場合には、相続財産調査は重要です。
相続財産や相続人の調査は専門的な知識が必要で、特に金融機関での預貯金の確認や不動産の登記状況などを正確に把握し理解するには時間と労力がかかり、間違いや漏れが起こることがあります。
知識や経験のない方は、弁護士に調査を代行してもらうことで、手続きの負担を大幅に軽減できます。
4-2.家庭裁判所の相続放棄手続の代行
相続放棄の手続きを行うためには、家庭裁判所での手続きが必要です。
郵送または持参で申立てすることが可能です。
申立てにあたり被相続人の戸籍謄本等が必要になります。
ただ、戸籍謄本には種類が多くあり、何をどこまで取寄せるのかを理解することが書類収集にあたり大切なポイントになります。
弁護士は職務上請求といって、依頼された事件について代行して戸籍謄本等を取得することができます。
そのため、依頼により必要書類の収集から申立てまで全てを任せることができ、手続きの負担を大幅に減らすことが可能です。
また、相続放棄の判断の前提である相続財産調査に時間がかかる場合には、熟慮期間伸長の申立ての判断や代行も依頼しておくこともできるため、相続放棄に関する疑問や不安を解消し、安心して手続きに臨むことができます。
4-3.相続債権者への一括対応
被相続人に対する債権者を「相続財産債権者」と言います。
例えば、被相続人が生前に金銭を借りていた銀行などのことです。
相続は、資産、負債、地位などの一切を引き継ぐものです。
相続債権者は、相続人にあたる親族に対して債務の返済を求めてくることがあります。
ある日突然、行政からの滞納税金の支払いや消費者金融からの借金返済を求める督促状が届くことがあります。
こうした場合、相続債権者の対応に時間が取られ、精神的に疲弊してしまうケースがあります。
当事務所では、相続放棄手続代行と合わせて、相続債権者への一括対応もおこなっています。
被相続人のご自宅に消費者金融や、信販・クレジットカード会社からの督促状が見つかった場合には、負債を抱えていた可能性があります。
熟慮期間は限られているため、早めに相談にお越しください。
4-4.特別代理人選任・相続財産管理人選任の手続代行
相続放棄は法律行為であり、未成年者は単独でおこなうことができません。
そのため、通常は法定代理人である親が子に代わっておこないます。
しかし、被相続人の相続人が「配偶者」と「その子(未成年者)」の2人であるような場合において、利益相反の関係にあるため配偶者は子どもの法定代理人として、相続放棄をおこなうことができません。
例えば、被相続人に1億円の資産があった場合、法律によれば配偶者5,000万円、未成年の子5,000万円の分割になります。
しかし、子が相続放棄をすると親である被相続人の配偶者に1億円の資産が手に入ることになります。
このように一方の利益が、他方の損失になるような関係を「利益相反」する関係と言います。
利益相反の関係にある場合、例え被相続人に莫大な借金しかないことが明らかであったとしても、親である配偶者は子どもに代わって相続放棄することはできません。
この場合、家庭裁判所に特別代理人の選任手続きをおこない、相続放棄を進めることになります。
また、相続放棄後に財産管理義務が残る場合、相続財産管理人の選任手続きが必要になるケースがあります。
ご自身のケースにおいて、どのような解決がベストかを専門家に相談することで、必要な手続きが分かり、安心して手続きを進めることができるでしょう。
5.まとめ
この記事では、相続放棄の基本知識から具体的な失敗事例の紹介、そして専門家への相談の重要性まで幅広く解説しました。
相続放棄の手続きを確実に行うためには、熟慮期間や手続き上の細かなルールを守ることが不可欠です。
被相続人の死亡を知った際には、熟慮期間の問題もあるため、なるべく早い段階で専門の弁護士に相談することをお勧めします。
専門家のサポートを受けることで、相続放棄の手続きをスムーズに進めることができます。
古山綜合法律事務所では、相続放棄についてのトータルサポートをおこなっています。
💼 参考│相続放棄に関連する法律サービス例
- 相続人調査の代行
- 相続財産調査の代行
- 相続放棄申述受理申立の手続きフルサポート
- 相続債権者の窓口対応
- 特別代理人選任申立の手続き代行
- 相続財産清算人選任申立て手続き代行
- 相続土地国庫帰属制度の申請代行
なお、司法書士でも相続放棄手続きの代行をおこなうことは可能ですが、司法書士には家庭裁判所での代理権はありません。
そのため、司法書士には書類作成のみしかおこなえず、手続き自体を任せられる弁護士と大きく異なります。
相続トラブルの回避、手続き負担の軽減に価値をおくのであれば、弁護士に相談頂く方が良いでしょう。
また、当事務所では遺産相続・相続放棄に関する初回無料相談も実施しております。
まずはどのような手続きが必要か、解決までの見通し、不安、悩み、疑問についての個別の質問にもお答えしています。
ぜひ、電話・LINE・メールなどでお気軽にお問い合わせ、ご予約の上ご相談ください。